2018年1月2日

親愛なる皆さん、明けましておめでとうございます。昨年は皆さんから熱いご声援とご助力をいただき、心より感謝を申し上げます。おかげでアルバム「時の結晶」を世に出し、さまざまな講義講演やライブコンサートを懸命にこなしてきました。今年も頑張りますので、またいろいろな場面でお会いしましょう。
歌には楽しいのもあれば、寂しく哀愁の漂うのもあります。でもすべての歌は愛のため。歌さえあれば、この愛は永遠に!
今年もよろしくお願いします。

2017年10月29日

英国旅の写真です。
10月1日、ロンドンの西に位置する世界遺産のバースにて。
(母、妹夫婦との旅)

2017年5月13日

2008年5月12日、四川大地震の翌日に作った「レクイエム」です。

映像は昨年、在日上海同郷会主催の熊本地震救援チャリティコンサートから撮られたものです。

2017年5月7日

2017年4月14日

先週、「漢詩を原典で学ぶ」の板書。

書きながら説いてゆく、楽しみは其の中に在り。

2017年4月2日

 

沖縄講演の旅は忘れ難く、詩を以て感懐を述べる

琉球行即事感懷 絕句三首

 

其一 題李杜講演會

泣鬼驚神歌李杜

催花綠柳舞風雨

百川激濺接青絲

一曲滂沱連碧宇

 

その一 李杜講演会に題す

 

鬼を泣かせ神を驚かせて 李杜を歌い

花を催し柳を緑にして 風雨を舞わしむ

百川(ひゃくせん)は激濺(げきせん)として青系に接し

一曲は滂沱(ぼうだ)として 碧宇(へきう)に連なる

 

注釈:百川=百川 海に帰すと言う熟語があるゆえ、ここで百川を海と解す。

   青系=碧海を背景に降ってくる雨が青い系のように見える。

 

其二 夜遊海灘

 

朱顏粉黛醉金卮

白浪黃沙摩玉姿

天地溫情澆塊壘

枯榮悲喜貴相知

 

その二 夜 海灘に遊ぶ

 

朱顔(しゅがん) 粉黛(ふんたい) 金卮(きんし)に酔い

白浪 黄沙 玉姿(ぎょくし)を摩(な)でる

天地の温情は塊壘(かいらい)を澆(そそ)ぎ

枯栄悲喜(こえいひき)とも 相知(あいし)るを貴(たっと)ぶ

 

注釈:金卮=金の杯。杯の美称。

   塊壘=日頃、胸中に鬱積してきた愁い。

 

其三 雨中留別

題沖繩海邦岳風會上原會長、伊波副會長、沖繩歷史民俗學者仲里先生、長江会会員新里女士等諸賢雨中深情相送。

 

雨落玉陵琉槿紅

大鴻搏翼欲騰空

群賢折柳拳拳意

盡在纏綿春浪中

 

その三 雨中の留別

 

雨 玉陵(ぎょくりょう)に落ちて 琉槿(りゅうきん) 紅なり

大鴻 翼を搏(はば)たいて空に騰(おど)らんと欲す

群賢 折柳(せつりゅう) 拳拳(けんけん)たる意は

尽(ことごと)く纏綿(てんめん)たる春浪(しゅんろう)の中に在り

 

注釈:玉陵=那覇市の名所。

   琉槿=琉球スミレの一種。わたくしが漢語らしく綴ったもの。

   大鴻=飛行機

   折柳=古代中国では、離別に臨んで柳の枝を送る風習があった。

      折柳とはすなわち送別や相思の意を表す。

 

2017年3月30日

 

 

月光,故鄉和我的心
-月光、故郷、そして心-    荘魯迅創作


月亮在哪里 月亮在哪方
她照進了我的房 她照上了我的牆
照着我遥逺的家鄉
也照進我孤獨的心房

不知哪一天 我逺離了你
故鄉 可知道我的衷腸
雖然餐風露宿我身在逺方
心中却没有一日把你遺忘

月亮在哪里 月亮在哪方
她照進了我的房 她照上了我的床
照着我甜蜜的家鄉
也照進我破碎的心房

不知哪一天 我逺離了你
故鄉 聴一聴我的衷腸
雖然披星戴月我一身創傷
心中却没有一刻把你遺忘

月はいずこ 月はかなたに
さしこむ光で部屋が照り映えて おもわず月を探してしまった
遥か遠い故郷も月光を浴びているだろう
わたしの孤独な心にも同じように月光がさしこんでくる

いつかは知らず わたしはあなたから遠く離れてしまった
故郷よ わたしの胸中を知るや
さすらいの旅路の辛酸をなめつくし 遠くまで来た我が身だが
心の中では一日とてあなたを忘れたことがない

月はいずこ 月はかなたに
さしこむ光で寝台が照り映えて おもわず月を探してしまった
甘き思い出の故郷も月光を浴びているだろう
わたしの破れ砕けた心にも同じように月光がさしこんでくる

いつかは知らず わたしはあなたから遠く離れてしまった
故郷よ わたしの胸中を知るや
時が過ぎ歳月が流れて 我が身は深い傷を受けてしまったが
心の中では一刻とてあなたを忘れたことがない

2017年3月2日

 

昨日、沖縄から無事に帰ってきました。

 

沖縄は初めてでしたが、とても好きになりましたあ!

日本詩吟学院認可団体・沖縄海邦岳風会設立35周年記念行事として催された荘魯迅講演会の演題は、

李白と杜甫・激動の時代をゆくーーでした。

当日は大雨が降っていたにもかかわらず、三百数十席がいっぱいになりました(中には琉球大学漢詩学の高名な教授と大東文化大学中国学の教授、そして拙著『中国近現代史』を通して長年、親交を深めてきた友人たちがいました)。

 

二時間の講演会は、李白と杜甫の人生と数々の名作の真実に迫りながら聴講者の皆様との深い交流であっという間に終わりました。わたくしにとって、シンガーとしてのコンサートで得られる感動と同様にそれは至福の時間でした。主催者である沖縄海邦岳風会に感謝し、聴講者の皆様に感謝し、東京から聴きに来てくださった「我愛長江・荘魯迅友の会」の会員たち、「荘魯迅粉絲会」の会員たちに感謝し、同行はできなかったものの心より声援を送ってくださった方々に感謝を申し上げます!

 

講演会の後は、極内輪的な宴が設けられました。

料理は沖縄風の中華、酒はむろん沖縄の銘酒泡盛。参加者は海邦岳風会の柱になる面々。美味銘酒に加えて、純朴ながら心に情熱が秘められた沖縄詩吟の方々、宴は和やかで楽しく、心の交流の場と化しました。皆様から講演の感想を述べられ、大いなる励ましをいただいたのです。本当にありがとうございました!

 

休憩の間にふと、友人がネットで嘆いたことを目にする。

ーー咲き誇る紅梅を歌う詩人がいないかと。

たちまち技癢を覚え、酒店の詩筆(ペンは自前のサインペンだが)を借りて戯れに五言絶句を一首詠んだ。

沖縄は今宵も雨、花すでに紅なりて酒さらに美しく、人も亦た酔えり。遂に「春思」を題して、以て友人たちに解頤せしめんと欲す。詩中のstoryは純然たる虚構なり。

 

春思

春愁何漫漫

倚樹盼伊人

不覺時霖細

梅紅濕淺顰

 

春愁(しゅんしゅう) 何(なん)ぞ漫々たらん

樹に倚(よ)りて 伊人(いじん)を盼(のぞ)む

覚えず 時霖(じりん)の細きを

梅紅(ばいこう)は浅顰(せんひん)を湿(うるお)す

(韻目は、上平十一真なり)